介護保険法の改正案を比較
比較基準の版:409AC0000000123_20260903_508AC0000000027。現行欄は各案が参照した条文の記録です。
案A · 青葉 はる
介護サービスの価格を自由化する――公的給付と販売価格を切り離し、安価な基本型から高額な充実型まで選べる制度へ介護報酬の全国的な改定を待たなくても、事業者がサービスの内容と価格を設計し、利用者が価格差・内容差を選べるようにすることを目指します。介護保険法第2条に、保険給付の算定基準と事業者の販売価格を分離する規定を追加します。居宅・地域密着型・施設・予防の保険給付対象サービスを横断する基本条文案です。 簡素な設備、必要な介護に絞った内容、追加行事の少なさなどによる低価格の選択肢と、手厚い配置や快適性を付加した高価格の選択肢を認めます。最低限の安全・人員配置を下回る提供や、契約した介護を怠る行為は認めません。 今回は価格自由化の改正案です。強制加入・保険料徴収・公的給付は存続させます。介護保険制度そのものを廃止する案とは財源と負担の帰結が異なります。
案B · 青葉 はる
介護送迎の責任を事前に明確にする――適切な引渡し手順への過失なしの推定と、事故への無過失補償介護保険法第2条に、送迎・引渡しの責任を事前に明確にする規定を加えます。危険の確認、本人への説明、個別計画及び実際の対応を事業者が立証できた場合、その行為について過失がなかったと推定する仕組みです。本人が自分で歩きたいという意思も、具体的な危険と代替方法を説明した上で尊重します。 事故が起きたという結果だけで責任を判断せず、何を確認し何を実施したかを共通の基準で検討できることを目指します。必要な対応を怠った証拠があれば通常の過失でも推定は覆り、包括的な免責同意書や故意・重過失の免責を認める案ではありません。 避けられない事故についても被害者の救済を途切れさせないよう、事業者の過失の有無を問わない事故補償を組み合わせます。対象は介護保険サービスに伴う送迎・引渡しで、介護全般の事故に一律に免責を広げる案ではありません。
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| 条数 | 現行(全文) | 案A:介護サービスの価格を自由化する――公的給付と販売価格を切り離し、安価な基本型から高額な充実型まで選べる制度へ | 案B:介護送迎の責任を事前に明確にする――適切な引渡し手順への過失なしの推定と、事故への無過失補償 |
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| 第二条 | (介護保険) 介護保険は、被保険者の要介護状態又は要支援状態(以下「要介護状態等」という。)に関し、必要な保険給付を行うものとする。 2 前項の保険給付は、要介護状態等の軽減又は悪化の防止に資するよう行われるとともに、医療との連携に十分配慮して行われなければならない。 3 第一項の保険給付は、被保険者の心身の状況、その置かれている環境等に応じて、被保険者の選択に基づき、適切な保健医療サービス及び福祉サービスが、多様な事業者又は施設から、総合的かつ効率的に提供されるよう配慮して行われなければならない。 4 第一項の保険給付の内容及び水準は、被保険者が要介護状態となった場合においても、可能な限り、その居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように配慮されなければならない。 | 追加 5 介護給付又は予防給付の対象となるサービスの対価は、その内容、提供時間、提供体制その他の条件を明示した上で、利用者とサービスを提供する事業者又は施設との合意により定める。この法律に基づく費用の算定基準は、保険給付の額を算定するための基準とし、当該対価の上限又は下限としない。 6 事業者又は施設は、前項の対価が保険給付の算定基準による費用の額と異なることのみを理由として、指定若しくは許可を拒まれ、取り消され、又は保険給付の支払を拒まれない。保険給付の額については、各給付に関する規定に従い、算定基準による費用の額と現に当該給付の対象となるサービスに要した費用の額のうち低い額を基礎として算定する。保険給付の対象外である費用を、当該基礎となる額に含めてはならない。 7 利用者の負担額は、第五項の合意による対価から、当該サービスに係る保険給付の額及び他の法令に基づき当該対価に充当される公的給付の額を控除した額とする。算定基準による費用の額を超える部分は、第五十一条、第五十一条の二、第六十一条及び第六十一条の二の規定による給付の算定の対象に含めない。ただし、所得その他の事情に応じた別の公的支援を妨げない。 8 事業者又は施設は、契約前に、対価の総額、保険給付の見込額、利用者の負担額、含まれるサービス及び含まれないサービス、職員の配置、解約条件並びに価格改定の条件を、比較しやすい方法で公表し、利用者に説明しなければならない。認知機能その他の事情により意思の表明が困難な利用者については、本人の意思を確認するため必要な支援を行い、代理権を有する者がいる場合にはその者への説明も行うものとする。 9 価格の選択は、虐待の禁止、事故の防止、衛生、職員の資格及び最低配置その他この法律又は他の法令に基づく利用者の生命、身体及び権利を保護する義務を免除しない。事業者又は施設は、任意の追加サービスを購入しないことのみを理由として、契約済みの基本的なサービスの提供を拒み、又は必要な介護を怠ってはならない。 10 市町村は、所得、要介護状態等及び地域の供給状況により、必要なサービスを利用できない者の状況を把握し、生活保護その他の支援への接続、利用先の調整及び必要なサービスの確保を行うものとする。事業者又は施設は、価格の改定により利用の継続が困難となる者に対し、あらかじめ説明を行い、他の事業者等への引継ぎについて市町村及び介護支援専門員に協力しなければならない。 11 第五項から前項までの規定は、保険料の負担、要介護認定等、給付対象となるサービスの範囲、支給限度額及び給付割合を、それ自体によって変更するものではない。この法律に基づく命令又は条例で定める利用料の収受に関する基準は、第五項から第九項までの規定に適合するものでなければならない。 | 追加 5 保険給付の対象となるサービスに伴って利用者の送迎又は引渡しを行う事業者又は施設(以下この条において「送迎事業者」という。)は、本人の意思及び自立した生活を尊重しつつ、心身の状況、転倒等の既往、移動経路及び住環境を合理的な範囲で確認し、送迎の終了地点、必要な介助、引渡しの相手方又は単独での帰宅の条件並びに予定どおり引渡しができない場合の対応を、個別の計画に定めなければならない。確認した情報に具体的な危険を示す事情があるときは、必要な追加の確認を行うものとする。 6 厚生労働大臣は、利用者、介護従事者、事業者及び関係分野の専門家の意見を聴き、前項の確認、危険に応じた介助及び引渡し、状態の変化に応じた計画の更新、緊急時の対応並びに記録に関する標準手順を厚生労働省令で定め、公表する。標準手順は、事故を一律に皆無とすること又は常時の身体拘束を要求するものとせず、本人の生活上の利益、危険の程度及び合理的に実施可能な対応を考慮するものとする。 7 送迎事業者は、計画の内容、予測される危険、利用可能な代替方法及び費用を分かりやすく説明し、本人の選択を記録する。意思決定に支援を要する場合は必要な支援を行い、家族の同意のみをもって本人の意思確認又は適法な代理権の確認に代えてはならない。本人が介助を希望しないときも、その理解及び具体的な危険を確認し、代替方法を検討するものとし、同意書への署名のみをもって危険を放置してはならない。計画は、心身の状況又は住環境に重要な変化がある場合に見直すものとする。 8 送迎又は引渡しに伴う生命又は身体の損害に関する民事上の責任について、送迎事業者又はその従事者が、第五項から前項までに従った個別の計画及び標準手順を適切に実施し、必要な確認、説明、本人の選択及び当日の対応の記録を提出してその実施を立証したときは、その立証した行為の範囲に限り、事故を防止するための注意義務に違反する過失がなかったものと推定する。この推定は、当該事故に関する債務不履行及び不法行為に基づく責任の判断に適用する。 9 前項の推定は、個別の具体的な危険に対して必要な措置を怠った事実その他の注意義務違反を示す事実が立証された場合には覆るものとし、反証を故意又は重大な過失の立証に限ってはならない。記録の虚偽作成若しくは改ざん又は正当な理由のない不提出があるときは、推定を適用しない。送迎事業者は、本人又は適法に権限を有する請求者に対し、第三者の権利に配慮して事故に関する記録を開示しなければならない。本人の同意のみをもって第八項の要件を満たすものとしてはならない。 10 送迎事業者は、送迎又は引渡しに起因する傷害、後遺障害又は死亡について、事業者の賠償責任の有無にかかわらず所定の補償を受けられる保険又はこれと同等の補償措置を講じ、利用者に補償範囲及び請求方法を説明しなければならない。補償の最低水準、対象となる事故、請求及び不服の申出の手続は、事故の実態及び費用の検証並びに関係者からの意見聴取を経て政令で定める。本人又は適法な請求権者が直接請求できるものとし、事業者の同意又は訴訟による過失の認定を支払の条件としてはならない。 11 前項の補償の受領は、損害賠償請求権の放棄を意味せず、同一損害について重複する補償又は賠償の調整は政令で定める。第八項は、故意又は重大な過失による責任を免除するものではなく、過失を要件としない他の法令上の責任、刑事上若しくは行政上の責任又は裁判所に救済を求める権利を変更しない。消費者契約法第八条及び第十条その他の契約条項の効力に関する規定は、引き続き適用する。 12 国は、標準手順の実施に要する介助及び記録の時間、補償措置の費用並びにサービスの供給への影響を調査し、介護報酬及び必要な支援の在り方を検討するものとする。記録は必要最小限とし、既存の介護記録と重複しない方法を整備する。標準手順及び補償制度の運用状況は、個人を識別できない形で公表し、定期的に検証するものとする。 |